『貧困体験談』では貧困を体験された方から寄せられた声をご紹介します。
貧困体験を寄せてくだった方のプライバシー保護のため、一部フェイクを入れている事をご了承ください。
貧困状態になってしまうと、つい「自分だけが辛い」って思っちゃうんですよね。
実際に頑張っている「誰か」の体験談を読むことで「自分だけじゃない」「私も頑張ろう」と思ってもらえる事を願って止みません。
医療費貧乏。退職金はとっくに使い果たしました。
私の世代の人間ってギリギリ年金貰えてると思います。今の若い人達には申し訳ないけど、これからはもっと貰えなくなるらしいですよね。
上から目線じゃないですが、若い頃にお金を貯めておいて欲しいな…って思います。
今回、私の体験をお話しようと思ったのも、私のような人間が少しでもいなくなれば良いと思ってね。
まぁ…ガッツリ稼げる人だったり、親に財産ある人ならそんな心配しなくても良いんでしょうけど。
ずっと真面目に暮らしてきました
私は工業高校を卒業してから板金工としてずっと真面目に働いてきました。
私は子どもの頃から地味な性格で酒もタバコもやりません。たまに競馬をしますが、それだって借金してまで…って感じじゃなくて、小遣い範囲で楽しむ程度。仕事は真面目…要するに可もなく不可もなくの面白味の無い人間って訳です。
私の時代はまだ高卒の人間が多かった…って事もあって、高校を出て働くことに疑問はありませんでした。
母子家庭で育ちましたから早く母親を楽にしたかった…ってのもあります。
お見合い結婚でしたよ
工場長の奥さんからすすめられてね。私はそれまで女性と付き合ったことがなかったので、正直ありがたかったですね。
今は未婚率が高いって言われてますが、お見合いをすすめてくれるような良い意味でお節介な人がいなくなった…っても原因なんじゃないですかね。
まぁ、ともかくトントン拍子で結婚しました。
家内は農協で事務をしていましたが妊娠と同時に退職しました。今にして思えば共働きで稼いでおくべきだったかも知れませんね。
ですが家内が「子どもは自分のの手で育てたい」って言うもんですから。私も特に反対はしませんでした。
子ども1人くらいなら俺の稼ぎでもどうにかなるだろ…って。
平凡な家庭でしたよ
贅沢は出来ませんでしたが、家内も地味な女でしたしね。子どもは女の子でした。
親に似ずよく出来た子でね。家内はやりくり上手な女でしたから、借金もせず大学まで出してやりましたよ。
あとは娘が結婚して、孫が出来て「じいちゃん」って呼ばれるようになって…って、そう思っていました。実際、そう言う家庭は一杯ありますよね?
娘が先に死ぬなんて……
脳腫瘍でアッっと言う間でしたよ。
手を尽くす暇なんてありませんでした。病院で腫瘍が見つかった時はすでに末期で余命宣告ですよ。大学卒業して就職してこれから…って時だったのに。
私も家内も気落ちしました。
家内の側にいてやりたくて55歳で早期退職しました。金銭的には多少不安はありましたが僅かばかりの退職金もありましたからね。アルバイトしながら地味にやっていけばいいかな…なんてね。
娘に次いで家内も……
ところが家内にもガンが見つかったんです。
家内の場合、娘と違って初期でした。家内は「いっそこのまま死にたい」なんて言ってましたが冗談じゃありませんよ。
何としても助けてやりたいと思いましたね。主治医も「転移する確率は低い」って言ってましたし、今はガン治療は進歩していますよね。
だから家内は大丈夫…そう思っていたんですが……。
まさかの転移ですよ
「転移する確率は低い」って言われてたんですが、まさかの転移ですよ。
肺に転移していました。ここからはもう札束で殴るようにして、あらゆる治療に手を出しました。
先進医療ってヤツですよ。全く金が無いならまだしも退職金がありましたからね。言葉どおり全部突っ込みました。家内は私にとってたった1人の家族なんですよ。死なせたくない…って思うのは当たり前でしょ?
貯金も全てツッコミました。
生活保護を受けるようになってたとしても、家内が生きててくれたらそれでいい…って。
家族もお金も失いました
そんな風に全財産突っ込んでがん治療に賭けたのに家内は助かりませんでした。
どこかで引けば良かったんでしょうけどね。医者も途中からは及び腰…って言うかね。強くは勧めてこないんですよ。ただ私の意地だけで突っ走ってしまったんです。
でも、諦め切れなかったんですよ…。
家内が死んで、今は倉庫整理のアルバイトをしながら細々とアパートで暮らしています。
家族で住んでいたマンションは私が1人で暮らすには広過ぎますから引越ししました。まぁ、家賃を払っていけない…ってのもありますけどね。
家族もいなければ金もないんです。
年金はありますが貯金が全くありませんから、病気をすれぱひとたまりもありません。
いっそ早く死にたい…って思うんですが、自殺する勇気もなくてね。早く娘と家内に迎えにきて欲しいって、そんな事ばかり考えています。
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