生活が立ち行かなくなってしまった時、最終手段として頼りになるのが生活保護です。
「人に迷惑をかけてはいけない」と言われて育った日本人は生活保護を受けるのを良しとしない風潮があるせいか、受給資格のある世帯のうち約80%は生活保護を利用していない可能性があるとも言われています。
そんな中、女性の貧困、子ども貧困は社会的にも大きな課題になっています。
生活保護の受給は当然の権利です。本当に困った時は助けを求めてください。
生活保護は普通に暮らしてい人にとって身近な制度ではないため、間違った情報を信じている方も多いようです。
この記事では「生活保護を申請する時に持っていてはいけないもの」について詳しくご説明します。
生活保護で持ってはいけないもの
生活保護を受給するために「車を持っていたら駄目」とか「財産があったら駄目」と言いった漠然としたイメージを持っておられるかと思いますが、具体的には何を処分しなければならないのでしょうか?
メモ
- 自宅や土地→売って生活費にあてます
- 自動車→所持は認められていません
- ローンのある住宅→売ってローンを清算します
- 生命保険・損害保険→解約して生活費にあてます
- 子どもの学資保険→解約して生活費にあてます
生活保護を受ける場合、原則として「お金に変わるものは全てお金に変えて生活費にあてる」と言う方針になっています。
車・自動車
ただし「保育所の送迎に必要」であるとか「駅が遠くて田舎なので車が必須」と言うような理由では認められません。
また、珍しいケースではありますが自宅の所有が認められる事もあります。
たとえば田舎で地価が安く建物も売れず「家賃を払う方が高くつく」ような場合は、自宅で暮らす事が認められる事があります。「古くて小さい家に1人暮らしのおばあさんが生活保護を受けて暮らしている」なんてケースがこれに当たります。
バイク
バイクの場合「種類による」と言うところではあるのですが、基本的に原付きバイクはOKです。
バイクの場合、娯楽性がある物は認められないようですが「娯楽性」と言われてもどこで線引するかどうかが問題になります。
具体的に言うと排気量は125cc以下のバイクで「生活に必要かどうか」がポイントとなります。
「バイクでツーリングに行く」のはNGですが、買い物や通勤に必要な場合はOKと言うイメージで考えてください。
ただしバイクの場合、明確な規定が無いため福祉事務所の裁量で判断が変わってくる部分があります。
交通機関が整っていない地域にお住まいの場合は認められるケースが多いのですが、東京や大阪と言った便利な場所に住んでいる場合は認められない可能性があります。
テレビ・エアコン
昔は「エアコンは認められない」とか「テレビは贅沢品とみなす」なんて噂がありましたが、エアコンもテレビも現在は所持を認められています。
ここ数年は夏場、エアコンを使わない人が熱中症で亡くなるケースもありますよね。
電化製品の場合、付加価値のあるマニアックなレベルの高級品だと処分するように指導される可能性がありますが、一般的なものは問題ありません。
パソコン・スマホ・インターネット環境
これは福祉事務所の裁量にもよるのですが、パソコンやインターネット環境が指摘される事はまずありません。
ただし、よほど特殊で最新型のパソコンを持っていて「このパソコンを売ればまとまったお金が入る」と言うような場合は、手放すよう指導されるかも知れません。
ペットについて
生活保護法でペットを飼うことは禁止されていません。
メモ
「生活保護制度」は「生活保護法」という法律によってルールが決まっているのですが、その中には犬や猫などのペットの飼育を禁止する規定がないのです。
生活保護の本来の制度目的は、憲法第25条「生存権」の保障です。
生存権の保障とは「人間として健康で文化的に生活できる最低限度の保障」のことですから、贅沢品は制限されます。
生活保護法の中でペットの飼育が禁止されていないということは、法律的にはペットは贅沢品に含まれないこととなります。
もちろん、よほどお金のかかる大型犬や特殊なペットやブリーダーレベルで多数のペットを飼っている場合は、何らかの指導をされるかも知りませんが、家族の一員としての犬や猫が1匹2匹いたとしても大丈夫です。
最近もTwitterなどで「ペットがいるから生活保護を断られた」なんて話題が流れていましたが、ペットを飼っていても生活保護を受給することは可能です。
弁護士ドットコムニュースでも取り上げられていましたから、興味のある方は読んでみてください。
余談にはなりますが、生活保護を受けながらペットショップでの購入や子犬の里親になる等して、ペットを飼う人もいます。
この場合も生活保護の支給額の中でペットの世話も出来ているのであれば、ペットを取り上げられことはありません。
生活保護を申請して部屋を借りる場合、住宅扶助の範囲内で生活保護相談可能な物件の中から、通常賃貸を探すときと同様に「ペット相談可」とされる物件を探す事が出来ます。
お住まいの地域によっては住宅扶助の範囲内で「ペット相談可」を探すのは難しいかも知れませんが「絶対に無理」と諦める前に「ペット相談可」の物件を探してみてください。
生活保護の申請のために全てを捨てる必要はありません
生活保護の申請と言うと「何もかも手放されなければいけない」という印象があるのですが、意外と所持を認められているものもあるのです。
「お金になるものは売って生活費にあてる」のが原則でが、パソコンもペットも手放す必要はありません。
生活保護でも持っていて良いもの
- 車・バイク(条件付き)
- ペット
- パソコン
- 携帯・スマホ
- テレビ・エアコン
生活保護の申請を考えておられるのでしたら「手放されなければいけないもの」「手放す必要のないもの」を改めて確認してみるのも良いかと思います。
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