みなさんは、役所から「生活保護の問い合わせ」を受けたことってありますか?
私の父は独身時代に他界しているのですが、父方の祖父母や親戚とは絶縁状態にあります。
父の親戚と絶縁するに至った経緯を書くと長くなってしまうので割愛しますが、父が亡くなってからは祖父母には全く会っていません。
補足
気が向いたら祖母との絶縁までの経緯をブログに書くかも知れませんが、ここでは絶縁状態の祖母に関するの生活保護の問い合わせについてお届けします。
ある日、ある自治体から「親族に対する扶養援助のお願い」と書かれた問い合わせの封書が届きました。
自治体から届いた問い合わせの内容
- あなたの祖母が生活保護を受給しています。
- あなたには祖母の扶養義務があります。
- どれだけ援助ができるか、所得を証明できるものを提出してくだい。
一般的に「身内の面倒は身内で解決するもの」と言うのが常識だと思うのですが、祖母とは20年近く絶縁状態でしたし、私は祖母から可愛がってもらった記憶はありません。
「親族に対する扶養援助のお願い」と書かれた書類が届いた時、法律的な事は全く知らない状態でしたが、私の気持ちとしては祖母の面倒を見る気にはなれませんでした。
生活保護扶養義務を拒否する
役所(社会福祉事務所)から祖母の生活保護に関する問い合わせが届いた時は、どうしたら良いものかと途方に暮れてしまいましたが、ケースワーカーをしている知り合いに相談してみることにしました。
私の言い分
- 祖母とは20年近く絶縁状態
- 私はすでに結婚して家庭がある
- 貧困ではないが祖母に援助出来る余裕はない
ケースワーカーの友人
「扶養出来ません」って書いてお繰り返したらいいよ
社会福祉事務所に「扶養をお願いします」「扶養しなさい」と扶養を強制する権限はありません。
あくまでも「問い合わせ」なので「扶養出来ません」と書いて返信するだけで良いとのことでした。
法律的にはどうなのか?
民法より抜粋
- 民法752条「夫婦は同居し,互いに協力し扶助しなければならない。」
- 民法877条1項「直系血族及び兄弟姉妹は,互いに扶養をする義務がある。」
- 民法877条2項「家庭裁判所は,特別の事情があるときは,前項に規定する場合の外,三親等内の親族間においても扶養の義務を負わせることができる。」
ただし、生活保護方の中で扶養義務者による扶養は保護の前提条件でありません。
役所(社会福祉事務所)としては、出来るだけ生活保護の受給者を減らしたいと思っていますから「扶養出来る人がいるなら扶養してもらう」と言うスタンスを取っています。
とりあえず三等親以内の親族には問い合わせることになっているようです。
しかしこれは生活保護を受給している親族に対して「自分の生活に影響が及んでも仕送りが強制される」とか「引き取って扶養しなければならない」というような強制力はありません。
自分自身がお金持ちなのに扶養しないのはアリ?
みなさんは「お笑い芸人の河本準一さんの母親が生活保護を受給していた」というニュースを覚えているでしょうか?
河本準一さんの場合、当時の年収は5000万円ほどあったと伝えられています
河本準一さんの母親の生活保護が問題になったのは「息子がお金持ちなら息子が母親の面倒をみれば良いのではないか?」と言うところにあります。
ただこれはケース・バイ・ケースで「扶養したくないから扶養しません」は通らないようです。
- 親族と定期的に会っていてど交際状況が良好である
- 扶養義務者の勤務先などから扶養手当や税法上の扶養控除を受けている
- 高額な収入があることが明らかである
明らかに親族を扶養する事が出来る状態なのに扶養を拒否する場合、家庭裁判所での調停に発展する事もあるようです。
河本準一さんの場合は母親との関係は良好だったそうですから、このパターンに入る…と言う事になります。
問い合わせを無視するのもアリ
ちなみに、社会福祉事務所からの所得の照会は「協力を求めるもの」の範疇を出るものではありません。
法律的な義務はないので放置しても罰せられることはありません。
ただし平成25年に改正された生活保護法では扶養義務者への照会手続を強化しています。
メモ
- 照会書は厚生労働省の示した様式に沿って家族構成や職業、資産、収入、社会保険の加入状況等を記載する事になっていますが返答義務はありません。
- 照会書の回答欄を全て埋める必要はありません。
生活保護の扶養照会の返信の割合は約半数だと言われています。
友人に生活保護のケースワーカーとして現役で働いている人がいますが「返信してこない人の方が多いかも」と言っていました。
私の出した結論
友人から話を聞いてわかったこと
- 「親族に対する扶養援助のお願い」に強制力は無い
- 自分自身がお金持ちなら扶養する必要があるけれどそうでなければ、扶養しなくても良い
- 「親族に対する扶養援助のお願い」は無視する事も可能
- 「親族に対する扶養援助のお願い」を無視すると何度も封書が届くかも知れない
内容はこんな感じです
- 祖母とは絶縁状態で20年近く会っていません
- 現在、私は結婚して姓も変わっており、自分達の生活を維持するのが精一杯で祖母に援助する余裕はありません
実のところ、厳しく突っ込まれたとしたら例えば「1ヶ月5000円程度の援助」とかなら可能だったと思うのですが、他人同然の祖母にそこまでして援助する気にはなれませんでした。
「親族に対する扶養援助のお願い」は無視しても良いとの事ですが、私の経験からすると、何通も書類が送られてくる事を考えると、返信した方が手っ取り早いように思います。
生活保護の扶養義務についての問い合わせなんて、そうそう経験する事ではないかと思いますが、どなたかのお役に立てれば幸いです。
生活保護について「もう少し知っておきたい」と思われるなら、生活保護についての知識を蓄えておくことをオススメします。何かあった時の判断材料としてお役立てください。
生活保護についての知識を蓄えておく